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REAL VOICE#3 教育は未来への投資|教育委員会学校教育課 金子浩也さん

常総市では、地域の持つ可能性を発見し、従来の枠にとらわれない発想でそれらを強力に活かしていく地方創生時代の職員・組織を創ることを目的に、「地域経営をリードするための人材マネジメント部会2023」へ3名の職員が参加しています。
常総市の「10年後の持続可能な地域づくり」をテーマにインタビューをしている本マガジン“REAL VOICE”。今回は学校適正配置などに取り組む教育委員会学校教育課の金子浩也主査兼係長へインタビューしました。

学校現場を支える縁の下の力持ち

Q:金子さんは現在入庁して何年ですか。
現在、17年目です。今まで在籍したのが健康保険課、企画課、こども課、学校教育課で教育委員会は5年目になります。
 
Q:これまで様々な部署にいたんですね。教育委員会へ異動した際、ギャップを感じたことはありませんでしたか?
教育委員会に来た当初はありました。そもそも勤務する庁舎も違いましたし。
また学校によって雰囲気が異なる気がします。これまでの窓口業務で、いろいろなお客さまの対応をしてきたので、そういった経験も生きたと思います。「先生や学校はこう!」というようなイメージで異動してくると、ギャップが大きいかもしれませんね。

 
Q:現在のメインの業務としては何を担当していますか?
私たちは主に学校の適正配置と学校ICTの二つの業務分野を担当しています。
 
Q:学校のICT関係も担当されているんですね。
今の係が新設されたタイミングで、学校ICTの担当になりました。ちょうどGIGAスクールが本格的にスタートし、タブレットが導入された時期でした。1年目は不具合も多く、何が何だか分からない感じでした。学校としても「きちんと使いたいんだけど、うまく動かない」という困りごとが多かったです。最初は「とにかく学校現場に行こう」とメンバーと話していました。
 
Q:最近は、教育現場もICT化が進んで先生方も大変になっていませんか?
そのとおりで、先生方の負担が大きくなっているように感じます。それらをなんとかしたいという意味で、我々は縁の下の力持ちという立場だと思っています。ICTが得意な先生がいる学校は利用が進む傾向がありますが、どの学校でも利用を進めてほしいと思っています。

Q:学校現場を支える縁の下の力持ちの立場として、近隣市町村と情報交換することはあったりしますか?
以前、企画部署にいたときは他の自治体などにすぐ電話して、ぱっと聞いたりしていましたが、教育委員会にはそのような雰囲気は少ないかもしれないです。
ただ、自分はそういうのは、あまり気にしないので、どんどん情報交換しちゃいます。

 
Q:そこを切り込んでいけるのも企画部署にいた金子さんならではですね。
気にしないだけですよ。新人職員は「他市町村電話して聞いてみて」と急に指示されると緊張しますよね。自分は、「いーや、聞いちゃえ!」と思って聞いちゃいます。意外と、他市町村の方も情報を欲しがっている場合も多いですよ。

人材は誰しもが大切だと思っている

教育委員会学校教育課 金子浩也さん

Q:金子さんは人材マネジメント部会(以下人マネ)に過去参加されていましたが、人マネの繋がりで情報交換するような機会はありますか?
教育委員会から人マネへの参加者が少ないみたいで、今のところ人マネの繋がりで直接情報交換することは無いですね。また自分が活動していた当時はコロナ禍で人マネのプログラムがすべてオンラインで完結しました。その時の人脈を活かしたいけど活かしきれていないかなと思っています。
 
Q:私たち人マネ2023チームではマルシェでワイガヤ(※)というイベントをやっていますが、最近は人マネに関わっていない人も来てくれて輪が拡がっているんです。(※ワイガヤ…本庁舎で毎週行う自由参加できるランチ会)
ぜひ石下庁舎でもやってほしいと思います。個人的には自主研究会(以下自主研)などの勉強会や自分で他市町村へ行ってみるなど、同業者の知り合いをたくさん作ることはやるべきだと思いますね。みんな人材は大切だと思っているはずです。同じく人マネに参加している石岡市では人マネを幹部会議の議題で取り上げるなんてこともやっているようです。歴代の人マネ参加者は活動をもっとオフィシャルにしたいという想いをもって活動していましたが、少しずつ輪が広がっているように感じます。

マルシェでワイガヤ(第1回)の様子

Q:現在の常総市では、市役所全体でのキャリアプランが見えにくい部分もあると感じています。外部への人事交流や研修を受けた人を経験が関係してくるような部署に配属するのか、それとも逆に様々な部署に散らばせて、それぞれの部署で活かせるようにするのかそういった方針が見えると良いなと感じませんか。
それが明確化されているといいなと思いますね。今後のキャリアをどう考えているのかを話せる機会がより多くあると成果ももっと発揮されるのではないかと思います。常総市役所の人材育成方針では自主研活動が認められているので、それに基づいた活動もしてきました。職員の視点で考えても、人事の担当が、職員に何かあった時の助けを求める場所であり、いわば心の拠り所になると思います。
 
Q:金子さんは係長になって、自分が思い描いていた係長像に近づけましたか?
核心的な質問ですね。なかなか理想通りにはいかないですね。うまく仕事を割り振って部下に仕事をやってもらってというイメージでしたが、まだ(仕事を)抱えちゃっているなと思いますね。同じ係の同僚ともっと一緒に(分担して)できればいいなと思いますが、できていない部分が多いので日々反省です。市役所は定型業務の部署と非定型業務の部署、両方あって難しいなと感じます。人マネの研究の中で「係長になる前研修」の実施を提案したことがありました。やはり係長になることでのギャップが大きく、悩む方が多いので、それであれば「なる前に係長はこうだよ」という研修をやりたいなと思っていました。

学校適正配置で知った対話の大切さ

Q:係長なる前研修はいいアイデアですね。ここで金子さんの業務の話をもう少し聞きたいのですが、学校適正配置も担当されていますよね。これまでの歩みを教えて頂いても良いですか?
平成21年・22年頃に全国的に子供が減っていくから、適正配置の検討を進めましょうという方針が出されました。そこで常総市としても組織を設置して、議論をしていました。時代も令和に入り、市内のある小学校で全体が3クラスの複式学級(複数の学年で1クラスを組むこと)になってしまいました。保護者や地域からも「子どもたちのためになんとかしたい」という声が上がり、適正配置を進める機運が高まりました。適正配置に対する基本的な考え方としては「子どもたちにとってどうするのが良いのかを考え、より良い教育環境を確保する」というスタンスで取り組んでいます。
 
Q:市民の方の反応はいかがですか?
かなり児童数が少なくなってしまった学校では保護者も地域の方も子どもたちのために取組を進めていこうという雰囲気を感じました。学校の適正配置に関して、アンケートを取ると、現時点では分からないという声が多かったです。保護者の立場になって考えると、仮に自分の子どもが学校に通っているときに統廃合となったら嫌だと思う方もいる一方で、少ない人数の現状の教育環境を変えて欲しいと思う方もいる。どちらが正解とかではないので難しいです。その中で、対話というのは重要だと思います。丁寧に話をするにはある程度、時間が必要になりますよね。つい目の前のことに目が行きがちですが、その先まで見ることが必要になります。言うは易しですが、なかなかやるのは難しいです。だからこそ、教育は未来への投資であることを意識するように心がけています。すぐに成果は出ないかもしれませんが、長期的に見てその地域をどうしていきたいかということに繋がると…。結局、地域にとっても人が大切だと思います。

変化の時代だからこそ繋がりが大切

Q:学校の先生の働き方改革について感じることはありますか?
人数がもともと少ない中で、学校の先生がただ勉強を教えていれば良いのかといわれるとそうは思わないですが、とはいえやらなきゃいけないことが多すぎると感じます。現場の先生は大変だと思います。だからこそICTなど使って省力化できるところはやっていかないといけないですよね。今はその過渡期にあるのかなと思います。我々市の職員も同じですが、教師を辞めてしまう方もいて、こうなりたいと思っていた方が、現実とのギャップで辞めてしまう方もいるのかな。
 
Q:確かに様々なことが変化している時代ですよね。水害やコロナ禍を経て市役所の雰囲気は変わったと思いますか?
水害直後は市役所職員が団結していた雰囲気がありましたよね。水害を機に何とかしなければという気持ちでみんな同じ方向を向いていた気がします。災害があって良いことはないですが…。当時と比較すると、個人のライフステージも変わっていますので、自分の役割をできる範囲で継続していくことが大切だと思います。人マネとか繋がっている人で何かを出来たらよいと思いますね。同じ方向を向ける目標があると良いですよね。

(編集後記)
教育は未来への投資。常総市の教育のこれからを見つめる金子さんの暖かい視線が印象的なインタビューでした。常に子どもたちの視点に立ち、「どうするのが一番良いのか」を考え、業務をしている学校教育課は、やさしい「対話」の雰囲気をまとっていました。教育現場は、どうしても関係者が多くなるところ。一人ひとりとしっかり対話をし、それぞれが持つ想いのきっかけを紐解きともに歩んでいくことがこの街の未来を創っていくことにつながっていくと感じました。
 
(聞き手:谷田部久子/商工観光課、平塚雅人/デジタル推進課、松永寛人/常創戦略課  写真:平塚雅人)

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